出ジャパン記

出ジャパン記

2025年までに完全に日本脱出することが目標

毎朝ひとつのティーバッグをシェアするだけの関係の彼

学校には食堂があって、食事は同じ寮のメンバーと食べる。同じ寮のメンバーに割と寡黙で静かなデンマーク人の男の子がいる。
ある朝、たまたま彼の隣に座って朝食を食べていた。彼は彼の前に座っている、彼が唯一よく話す友人といつものように話をしていた。
私は彼らの隣で静かに朝食を食べていたら突然「Fumika、この紅茶ブランドはデンマークで一番美味しい紅茶なんだよ」と彼がティーバッグのパッケージを見せてくれた。
「そうなんだ、ハーブティー?私は普通の紅茶派で、あまりハーブティーは飲まないけど美味しいの?」と聞くと「一緒に飲む?」と言い、彼はティーバッグを開けて自分のカップに入れた後、私のカップに入れてくれた。
爽やかな風味の後に不思議な甘みを感じる美味しいハーブティーだった。
それからというもの、彼は毎朝、ティーバッグを自分のカップに数分入れた後、「Fumika、これ使う?」と聞いてくれるようになり、いつしか私たちはひとつのティーバッグを毎朝シェアする関係になった。
彼は寡黙なタイプだし、話しかければひとことふたこと返事をしてくれるが、それ以外での交流は特にない。
彼は毎朝違う種類のティーバッグを持ってきて、二杯分の紅茶を入れてくれるが、私たちはその紅茶について何を話すわけでもない。ただただひとつのティーバッグから煮出した紅茶を一緒に啜るだけだ。私も何か感想でも言えばいいのかもしれないが、彼がそれを求めているとも思えない。
他にも同じ寮のメンバーがたくさんいる中、なぜ彼が急に私にティーバッグをシェアすることを提案してきてくれたのかもわからないし、なぜその後毎朝きまって私にティーバッグをくれるのもわからないが、私はこの不思議な関係性に心地よさを感じている。

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