出ジャパン記

出ジャパン記

2025年までに完全に日本脱出することが目標

舗装された道よりもオフロードでいこう!

バイクの運転って人生と似てるな、とつくづく思うのです。

私はタイで初めてバイクの免許を取ったのですが、タイで免許を取るのは簡単で、原付が運転できる人なら誰でも合格することができます。
バイクの免許を取ってしまえば、オートマに乗るもマニュアルに乗るも自由です。
それまでマニュアルバイクというものを運転したことがなかったのですが、なんとなく憧れがありマニュアルバイクを購入しました。
バイク屋で契約を終えた私にバイク屋のおじさんが「最後になんか聞いておきたいことある?」と言ってくれ、それに対する私の返答は「マニュアルバイクってどうやって運転するんですか?」でした。

全く理論がわかっていない私に、バイク好きの友人ディーンが操作方法を教えてくれました。駐車場でひたすら練習、練習、練習。
彼は飛行機のエンジニアということもあり、そういったものの構造にも詳しく、仕組みを丁寧に教えてくれました。1時間ちょっと教えてもらって運転できるようになったので、いったい日本の教習所ってなんなんだろう?と思いますが、何はともあれマニュアルバイクの運転ができるようになりました。
昔ちょっとマニュアルバイクをいじった時に、訳がわからず私にはこういうことは向いてないんだ、と思っていました。できないこと、って怖いし、別にやらなくてもいい。でも、人生とは本当にやりたい!!と思って行動をすれば誰かが力を貸してくれるものですね。そしてできないと思ってたことは、人の助けがあれば案外簡単にできたりします。

そんなこんなで、私は彼とよくツーリングに出かけるようになりました。新しいことができるようになるというのは気持ちのいいものです。またひとつ、自由を手に入れる感覚です。彼の後ろにくっついて何も考えずにバイクを走らせるのは楽で楽しかったです。しかし、何回目かのツーリングの帰りに、彼が「帰りはふみがリードして」と言ってきたのです。「無理だよ!道もわからないし、高速は怖いし、周りは大きなトラックばかりじゃん!」と言ったけど、彼は譲らず、帰りのリードをすることになりました。どの道を通って、どれくらいのスピードを出して、どこで車線変更をするか、どれだけトラックの合間を縫って走るか、全て自分で決めて、彼はそれについてきてくれる。なんだかすごく楽しかったです。これまた人生と同じで、何も考えず人についていくのは楽ですが、自分で全てを決める生き方は大変だけどもっと楽しい。高速道路を走りながら、そんな風に感じました。

そしてある日、私とディーンはカンチャナブリーにツーリングに行き、キャンプ地で一泊した翌日、湖を渡るために車輌用フェリーに乗る必要があり、フェリー乗り場に向かうことにしました。フェリー乗り場と言うと、港のような整備された場所を想像するかもしれませんが、そこはカンチャナブリーの外れの湖のフェリー乗り場です。フェリー乗り場までの道のりはボコボコのオフロード。恐る恐るタイヤを走り入れ、少し走ったところで、「無理!怖すぎる!いつ転倒してもおかしくないしどうしよう!こんなところで転倒したら絶対怪我するし、こんな山中でどうするんだ?」と恐怖が全身を包みました。ディーンは大丈夫だよ、楽しいじゃん!と言っていますが、私は珍しくパニックになりかけていました。でももう引き返すこともできない。今までなんとか下ってきたデコボコ道を引き返すという選択は、そのまま進むよりも非現実的に思えました。仕方がない、と覚悟を決めて、恐る恐る運転をするのをやめてスピードを出して走ることにしました。恐怖に支配されるんじゃなくて、自分の感情は自分で支配しないといけない!と言い聞かせアクセルを開きました。すると、モトクロスでもやってるんでしょうか?というほどの激しく揺れは飛んで、途中からそれが最高に楽しくなってしまったのです。一見険しく見えて自分が怖いと思ってた道は、自分の考え方を変えたら一気に楽しい道になったのです。そんなデコボコのオフロードを終えた先にフェリーが待っていました。

またひとつ自由になった後の湖の旅は格別でした。

そして湖を渡り、舗装された道に戻った時に真っ先に思ったことは「舗装された道って楽だけど物足りないな」でした。
舗装された道は楽なのです。どこを走ればいいか明確だし、失敗して大怪我する恐れもない。でも、オフロードで味わったあの興奮や達成感は得ることはできないのです。
その時に思いました。
「そうだ、人生も舗装された道じゃなくてオフロードでいこう!」