出ジャパン記

出ジャパン記

2025年までに完全に日本脱出することが目標

インビクタス/負けざる者たち / Invictus

 

 監督:Clint Eastwood 

 

・あらすじ

公式サイトより引用

 ”アパルトヘイトによる27年間もの投獄の後、黒人初の南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラは、依然として人種差別や経済格差が残っていることを痛感する。誰もが親しめるスポーツを通して、人々を団結させられると信じたマンデラは、南アフリカラグビーチームの立て直し図る。マンデラの”不屈の精神”はチームを鼓舞し、団結させ、奇跡の快進撃を呼び起こす。それは、暴力と混沌の時代に初めて黒人と白人が一体となった瞬間だった。”

 

・感想

この映画に出てくる詩の一節が昔から大好きで、映画も見ないとなー、と長年思いつつもようやく見た。

ネルソン・マンデラの話でありながら、アパルトヘイトや黒人差別に対して悲観的な描写や、見ていて辛くなるような描写は無くて、過去よりも未来のことに目を向けた希望的な話。

それなのに何故か、開始10分くらいから不思議と泣けてきて、そのまま最後まで涙腺緩みっぱなしだった。

なんだろう、モーガン・フリーマン演じるネルソン・マンデラの周りの人への愛があるところ、不屈の精神、漂う哀愁、なにかわからないけど心の琴線に触れるものがある。

 

試合の前日に、南アフリカラグビー代表チームのキャプテン、マット・デイモン演じるフランソワが窓の外を見つめながら言うセリフ

”I was thinking about how you spend 30 years in a tiny cell, and come out ready to forgive the people who put you there.”

どうしたら30年近く小さな独房に入れられて、その人達を赦すことができるのだろう、ってかんがえてたんだ。

その前にもネルソン・マンデラがロベン島の監獄に27年間収監されていた、って話は出てたけど、このセリフで改めてその現実が重くのしかかってきた。

マット・デイモンの表情とセリフで、見ているこちらも同じように考えさせられる。

 

最後のラグビーワールドカップの決勝戦のシーンは、言ってしまえば、ただラグビーをしているシーンなんだけど、涙が止まらないから不思議。悲しい内容じゃない映画でこんなに泣いたのは始めてかもしれない。

クリント・イーストウッドモーガン・フリーマンマット・デイモンを始めとした制作陣、俳優陣の本気に圧倒される。

 

映画の中に出てくる詩は、イギリス人詩人、ウィリアム・アーネスト・ヘンリーによって1875年に書かれた韻文詩。

冒頭でも言った私の好きな部分は最後の2行で、人生の座右の銘として胸に刻んでる。

全体で見ると全て韻を踏んでいて、最後の2行も同様に前の2行からの音を受けてる。(gate&fateとscroll&soul)

 

Out of the night that covers me,

      Black as the pit from pole to pole,

I thank whatever gods may be

      For my unconquerable soul.

 

私を覆う漆黒の夜

鉄格子にひそむ奈落の闇

私はあらゆる神に感謝する

我が魂が征服されぬことを

 

In the fell clutch of circumstance

      I have not winced nor cried aloud.

Under the bludgeonings of chance

      My head is bloody, but unbowed.

 

無惨な状況においてさえ

私はひるみも叫びもしなかった

運命に打ちのめされ

血を流しても決して屈服はしない

 

Beyond this place of wrath and tears

      Looms but the Horror of the shade,

And yet the menace of the years

      Finds and shall find me unafraid.

 

激しい怒りと涙の彼方に

恐ろしい死が浮かび上がる

だが、長きにわたる脅しを受けてなお

私は何ひとつ恐れはしない

 

It matters not how strait the gate,

      How charged with punishments the scroll,

I am the master of my fate,

      I am the captain of my soul.

 

門がいかに狭かろうと

いかなる罰に苦しめられようと

私が我が運命の支配者

私が我が魂の指揮官なのだ

 

しかしモーガン・フリーマンって改めていい役者さんだな・・・。

ショーシャンクの空にを久しぶりに見たくなった。